車優先社会、ここに極まれり

 

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最初にこの看板を見た瞬間、何のことかよく解らなかった。

しかし、すべての横断歩道を見て理解した。

 

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至極簡単なことだった。全部の横断歩道が押しボタン式なのだ。

 

現場は県道と国道が交わる三叉路。県道と言っても、豊田市を横断する道路故に交通量は非常に多い。

以前から当ブログで指摘しているが、公共交通の発達した大都市圏以外の都市は、車依存が極端だ。現地も例外では無く、歩いている人や自転車はほとんど見なかった。

なぜこの交差点がすべて押しボタン式なのか、理由は簡単に推測できる。

 

横断歩道を渡る歩行者がいないから、歩行者信号を青にする必要が無いのだ。

 

車依存社会、ここに極まれり、という感じだ。

 

押しボタン式の歩車分離信号であるので、安全ではある。

ただし、皮肉なことに安全なのは横断歩道を渡っているときだけだ。周辺の道路には歩道も路側帯もほとんど無い。あっても肩幅くらいで、ダンプが頻繁に走るのでものすごい恐怖を感じる。

 

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正月に、紀伊半島奥地のいわゆる「三桁国道」を車で(諸事情で不本意ながら)走った時、こんな超田舎に必要なのかと言うほど立派に整備された区間があったが、ほとんど歩道が無かった。

 

人々の車依存が進み、また一方ではクルマ一択前提の道路作り。もうすでにクルマ以外、移動の選択肢が無いのだ。

そしてこの押しボタン式の歩車分離信号。歩行者がいないから、必要なときだけクルマを止めれば良い。どうせ歩行者なんかほとんどいないんだから押す人もいないだろうと言わんばかり。きわめて消極的なプロセスで歩車分離信号が実現されているのは複雑な気分である。

 

押しボタン式の横断歩道自体は珍しく無い。

あれを利用するとき、妙なプレッシャーを感じる方は、筆者も含めて少なからずおられると思う。他にも横断歩道を渡る人がいればまだ良いが、自分一人が渡るために信号を切り替えるという所に、なんとな~く申し訳なさを感じるのである。(歩行者の権利を訴えているくせに情けない、と自分では思う)

 

普通なら押しボタンなどつかない交差点の信号が押しボタン。車社会に疑問を感じて生きている者の感覚では、なんとも不幸せな事だなと思う。

 

車優先社会、ここに極まれリ。